労働基準法の概要並びに、皆様の理解度に応じた学習方法を紹介します。
概要を一読頂き、理解度に応じて学習を進めてください。
概要(重要事項抜粋)
労働基準法とは、労働条件に関する最低基準を定める日本の法律であり、
最低賃金や休憩時間、夜間の給与割増し等が定められています。
労働者への処遇が労働基準法に記載されている最低基準を下回った場合は、事業者や企業に対して罰則が科せられ、労働者への処遇は最低基準まで自動的に引き上げられます。
第1章 総則
(禁止事項)
・労働基準法の最低条件を理由とした労働条件の引き下げ
・ 国籍、信条、社会的身分、男女の別を理由とする差別的取り扱い
・ 暴行、脅迫、監禁などによる強制労働
(違反例)
・理由なく賃金を最低賃金まで引き下げる
・イスラム教徒であるとの理由で賃金を減らす
第2章 労働契約
(義務)
・労働条件通知書の交付
・解雇の際における30日前までの予告
・退職時の理由や賃金額を明記した証明書発行
・退職から7日以内の金品返還、賃金支払い
(禁止事項)
・3年超の労働契約 ※特定の職業は5年
・労働契約における損害賠償の規定
・前借金相殺、強制貯金
(違反例)
・会社へ借金がある労働者の賃金から、借金返済分を勝手に差し引く
第3章 労働契約
(義務)
・賃金は「通貨/月1回以上の一定日/最低賃金額以上/全額/直接」支払い
・使用者の責に伴う休業時は、60%以上の休業手当を支払う
第4章 労働時間、休息、休日及び年次有給休暇
(義務)
・休憩を1日に45分(勤務6時間以内)または1時間(勤務6時間超)、
自由に利用できる時間を、一斉に、労働時間の途中に与える
・休日/所定労働時間外に労働させる際は労働組合と36協定を締結し、
休日労働は35%以上、時間外労働は25%以上の割増賃金を支払う
・週1日以上の休日と、年次有給休暇の付与(6か月&8割以上出勤者)
(禁止)
・週40時間/1日8時間を超えて労働させる
(36協定/フレックスタイム制/管理監督者/災害時等の特例あり)
第5章 安全及び衛生
(義務)
・労働安全衛生法
第6章 年少者
(義務)
・満18歳未満の者に関しては、戸籍証明書を事業場に備え付ける
・深夜業(PM10時~AM5時)への25%以上の割増賃金支払い
(禁止)
・児童(満15歳到達後の3月末が到来するまでの者)の労働
・年少者(満18歳未満の者)の深夜業と危険有害業務(粉じん作業等)
・妊産婦の危険有害業務、産前6週、産後8週の勤務
※軽易な労働は申請後可能。例:映画の子役等。
産前の休業は申請があった場合に限る。
・親権者や後見人が、未成年者に代わって労働契約を締結する
第7章 技能者の育成
(禁止)
・技能習得目的であること(徒弟、見習など)を理由とした酷使
第8章 災害補償
(義務)
・業務上の負傷、死亡に関する医師の診断と、療養行為または費用負担
・療養中の60%以上の休業補償給付、障害に対する補償
第9章 就業規則
(義務)
・常時10人以上の労働者を使用する場合の、就業規則の作成及び届け出
・就業規定への絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項の明記
※絶対的必要記載事項:就業規則に必ず定める事項。
休憩、休日、賃金、シフト、解雇事由等。
※相対的必要記載事項:定める場合は就業規則に記載する事項。
退職手当、臨時賃金、労働者負担費用、
安全/衛生費用、職業訓練、災害補償等。
・就業規則は、掲示/書面交付などの方法で容易に確認できる状況とする
(禁止)
・減給処分の1回の額が平均賃金の半日分を超える、
または賃金支払いにおける総額の1/10を超えること
第10章 寄宿舎
(義務)
・食事、安全衛生等を定めた規則の労働基準監督署長への届け出
(禁止)
・寄宿舎における私生活の自由(役員選任など含む)への干渉
第11章 監督機関
ー 違反時の行政指導、労働基準監督所の権限等を規定
第12章 雑則
(義務)
・労働者名簿、賃金台帳の作成
第13章 罰則
- 各条に違反した際の刑罰を規定
学習方法
入門(労働関係の知識が無い方向け)
(web記事)労務管理の全体像(厚生労働省PDF)
(web記事)労務管理の基礎知識(厚生労働省Q&A)
初級(当記事の単語や内容の一部が理解出来ない方向け)
(書籍)労働基準法がよくわかる本
中級(当記事の内容を既に知っていた方向け)
(web記事)労働条件に関する重要判例集(厚生労働省HP)
(書籍)新・労働法実務相談
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